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夏のボーナスが支給され、必要な出費もおおむね一巡したこのタイミングで借り換えを検討し始めている方は少なくないかもしれません。借り換えには登記費用など一定の手数料が必要となりますので、「ボーナス後」というのは良いチャンスと言えます。
また、「借り換えを決める前に一度相談してみたい」という方にとっても夏休みが始まる8月というのは好都合ですね。
思い立ったが吉日ですし、昨年夏と比較すれば多少上昇したとは言え、住宅ローン金利は全体的には引き続き低位安定していますので、ぜひ低金利メリットを得られる間に検討を進めていただければと思います。
ちなみにここまでの金利動向を振り返ってみると、住宅ローン金利のベースとなる長期金利は過去3年でこのように推移しています。
ざっくり言えば2013年の異次元緩和開始以降急速に低下した後、2016年7月末から上昇した一方、2017年からは日銀のイールドカーブコントロールによって安定的に推移しているという状況です。
ではこうした状況の中で、実際に住宅ローンの借り換えを行った方はどういう金利タイプを選び、またどれくらい住宅ローンの借り入れ金利を引き下げているのでしょうか?
というわけで2017年7月に住宅金融支援機構が発表した「民間住宅ローン借り換えの実態調査」をチェックしたいと思います。これは「2016年4月から2017年3月までに借り換えをした1,360人」に聞いたもので、回答者数は十分ですね。
ただ単年度だけで見ても面白くないので前年度の数字と比較したいと思います。前年度の調査対象は「2015年11月から2016年3月までに借り換えをした259人」ということで期間も回答者数も中途半端ですが、この際細かいことを言うのはやめておきます。
まず「借り換え時に選ばれている金利タイプ=新しい金利タイプ」はこのように変化しています。
・変動型 : 33.3% → 28.0%
・固定期間選択型 : 53.8% → 58.9%
・全期間固定型 : 12.9% → 13.1%
論評する前に、いつもご案内しているように住宅ローン全体の金利タイプシェアは概ねこのような感じです。
・変動型 : 5割〜6割
・固定期間選択型 : 3割〜4割
・全期間固定型 : 1割
また、別の「借り換えアンケート」での金利タイプはこのようなものでした。
・変動型 : 4割〜5割
・固定期間選択型 : 4割〜5割
・全期間固定型 : 1割
そのように考えると、上記住宅金融支援機構の調査結果は「変動型のシェアが少なすぎる」と言えるわけで、データが偏っているか、あるいは不正確である可能性がありますが、そう結論づけると話が終わってしまいますのでその可能性も考慮しつつ話を進めたいと思います。
仮にこの数値が正しいのだとすると「固定期間選択型」が圧倒的に人気ということですね。
その理由を探る前に、念のため「借り換え前の金利タイプ=元の金利タイプ」をチェックしてみるとこうなっています。
・変動型 : 28.3% → 26.5%
・固定期間選択型 : 55.4% → 51.2%
・全期間固定型 : 16.2% → 22.3%
つまり借り換え客の過半が「固定期間選択型」利用客だということですね!要するに「借り換え前と借り換え後とで全体的な金利タイプのシェアに大きな変化はない」ということになります。
うーん・・・やっぱりデータが偏っている気がしますね。この金利タイプシェア結果の信憑性には疑義がありそうです。
そうは言いつつ再び話を前に進めると、「借り換えによってどれくらい金利が下がるのか」という点についてはこうなっています。まず2016年の調査結果はこう。
次に今回=2017年の調査結果はこう。
抜粋するとこうですね。
・金利は上昇 : 5.4% → 4.5%
・金利変化なし : 12.0% → 2.4%
・〜0.2%低下 : 15.1% → 13.9%
・〜0.5%低下 : 17.4% → 17.9%
・〜1.0%低下 : 21.6% → 28.7%
・〜2.0%低下 : 20.8% → 25.1%
・2.0%超低下 : 7.7% → 7.4%
なぜか前回調査では12.0%もいた「金利変化なし」がいきなり約10%も低下し、その半分の5%が「〜1.0%低下」へ、残りの5%が「〜2.0%低下」へ移っているという・・・違和感の感じる変化ですね!うーむ・・・。
ただ上記長期金利グラフの通り、2016年前半の金利急低下時に空前の「住宅ローン借り換えブーム」が起きましたので、「借り換え時の金利引き下げ幅が拡大した」という結果自体は納得できるものと言えます。
では全体的にどれくらい借り換え金利が低下したかと言うと、「金利は上昇」「金利変化なし」という回答数を除いて、それぞれのレンジの中間値をもとに加重平均を算出すると平均「金利引き下げ幅」はこのようになります。
・2016年調査 : −0.89%
・2017年調査 : −1.03%
マイナス金利を受け、相応に「金利引き下げ幅」は拡大したということですね。
全体的には首をかしげてしまう部分も少なくないですが、そうした点にはご留意いただいた上で、これから借り換えを検討されている方は参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>